課せられた博士論文の条件
私が入学前、そして入学直後に指導教官から博士論文作成について課せられた条件は以下のものとなります。
- 既にある研究実績を一つの流れとして不自然でないものとすること
- 取得予定の学位に即した内容とすること
- 英語で書くこと
- 100ページ以上は書くこと
- 参考文献は50以上
特に重要なのは1と2になります。早期修了プログラムでは事前に研究実績として査読済みの筆頭論文を2報以上求められます。管理人の場合、自社製品の品質保証のために必要となった試験法の開発・改良業務の成果が研究実績になりましたが、その一つ一つの成果がそもそも対象としている試験法自体が異なり、連続性のない独立した内容となっていました。そのため、この本来連続性のない論文を、一つの課題を解決する研究として位置づけ、連続性を持たせて博士論文とすることが求められました。
入学試験前に指導教官に研究計画として、博士論文の大まかな案を提示し認められていたので、イメージはあったのですが、いざ書き始めると自然な流れにすることはなかなか難しく、最終版を仕上げるまで苦しめられました。
また、上記の2番について今回お世話になった指導教官の基では、学位の種類が本来の食品分析法の改良とは一見異なるものしか選べなかったことから、最終的な落とし所を取得する学位の種類と違和感のないものにする必要がありました。こちらも前もって相談していたのですが、実際に文章にすると違和感が出て最後まで苦しみました。指導教官曰く、前回担当した早期修了プログラム履修者は最後の最後で審査委員会でこの種類の学位を与えるのはおかしくないかと言われたとのことで、最後までこの点を注意して見てきました。
3~5番目は管理人が所属した専攻(現学位プログラム)で指定されているものではなく、指導教官の感度による所になります。3番目は博士号を取得するのであれば英語で書くのは当たり前という指導教官の考えだったので、正直英語が苦手な管理人でしたが、断ることもできず、泣きそうになりながらもなんとか英語で書き上げました。
4から5番もあくまでも指導教官の感度で目安です。ですので上記の条件(特に3~5)は必ずしもだれもがすべて守らなければならないということをご理解ください。
博士論文の書き進め方(管理人の場合)
まずは序論をしっかりと書き進める
前述の通り、一つの問題・課題を解決するにあたって前提条件となる背景をしっかりと書き上げなければ、その後の各種検討内容と、各検討内容をどのようにつないでいくのかを具体的な形で書き上げることができませんので、こちらをしっかりと書き上げることから始めました。また、取得する学位の種類をしっかりと踏まえたうえで序論を作成しました。
管理人が英語に疎いこともあり、まずは日本語で押さえるべき箇所をしっかりと表現し、その後英語に訳すような形で対応しました。
次に序論の内容をしっかりと把握したうえで各章のつなぎを書き直す
これまでの研究実績はそれぞれ独立した研究内容であったことから、序論で提示した問題・課題のどの部分を当該研究は解決したのかをしっかりと記載し直し、次にどのような問題・課題を解決しないといけないのかを明示したうえで、次の研究実績に話が自然に流れるように書き直しました。
総括で一連の流れを意識しながら全体像を記載する
総括の章では序論と各章の概要を記載し最終的なゴールをしっかりと示しました。また、最後に取得予定の学位の種類を意識して結論を閉めました。
全体的に文章が書きあがったら英文校正サービスに校正を依頼する
作成した文章は辞典などを使って大まかな英文を作成し、以前の記事にも書きました英文校正サービスであるGrammarlyを使って、修正できる箇所は修正しました。しかし、それでも拙い英文であることから、この後別の記事にも書きました英文校正サービスであるeditageに校正を依頼しました。
予備審査に間に合うよう計画をしっかり立てて対応しましょう
まずは大まかな形としてまとめた博士論文は予備審査前に主査と副査の事前の確認が必要でした。ですので、10月中旬までには一通り完成させる必要がありました。入学して博士論文を書くようになって以降は、月に1度指導教官に会う際には、進捗がそこまで進んでいなくても、気になる箇所については都度相談しました。そして、7月末に一通りまとまったものを英文校正に出し、お盆明けに指導教官に全体の論文を確認してもらい、修正を経て予備審査に備えました。
とにかく、指導教官と足並みをそろえることが大切です。後日書きますが、管理人なりに気を使っても、結果として指導教官と相違が生じると非常に厄介です。しっかりと計画を立てて確実に博士論文の作成を行いましょう。
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